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「子どもに作品をつくらせる」のではなく「子どもが作品をつくりたくなる」指導を

                       大津市立堅田中学校 校長 人見和宏

令和7年度の会長を拝命いたしました。関係の皆様のお力添えをいただき、微力ながら本県の美術教育の振興に努めて参ります。どうぞよろしくお願いいたします。

昨年度は10月に全国造形教育研究大会滋賀大会を盛会のうちに開催できました。その経験を踏まえ、今年度は研究テーマを「楽しく夢中になる『学びの場』の創造~かんじる、ためす、みて気づく、思いふくらむ造形の時間~」と設定しています。
さて、表現・図画工作・美術における「学びの場」とは、一体何でしょうか?反対に、子どもたちにとって「学びのない場」とは、どのような状態でしょうか?

表現・図画工作・美術の保育・授業では、子どもたちが作品をつくるので、私たちは作品をつくらせる指導が最も重要だと思いがちです。しかし、先生が作品をつくるすべての手順を説明し、子どもを指示通りに従わせるだけでは、子どもたちにとって「学びのない場」になり、単なる作業にとどまります。
先生から指示されてつくるのではなく、子どもたち自身がつくりたい作品のイメージを強く心に思い描いていることが大切です。自分が思い描く作品に仕上げるにはどうすればよいか、楽しく夢中に活動する中で、試し、思考し、判断し、表現する過程で「学び」が生まれます。子どもに必要性が生じた時に、適切な支援をすることが教師の役割。
私たち教師が最も大切にするべきことは、「子どもに作品をつくらせる」のではなく、「子どもが作品をつくりたくなる」指導です。

今年度、「学びの場」の創造を目指して、第72回を迎える「滋賀県教育美術展」を「滋賀県教育美術展~子どもの学び展~」に、「題材紹介カード」を「子どもの学び紹介カード」に改称し、展覧会を通じて子どもの表現の良さや指導上の工夫、子どもたちはどのようなことを学んだのか、などについて研修することを鮮明にします。
特選に選ばれた作品を指導された先生には「子どもの学び紹介カード」を作成いただきます。趣旨をご理解の上、賛同できる先生のみご応募ください。
なお、「滋賀県教育美術展」では、技法をこらした高度な作品が多く選ばれていたことが課題の一つでした。そこで遊びの中から短時間で生まれた小さな作品や、子どもの素朴な喜びにあふれる軽やかな作品なども積極的に選びます。このような作品も奮ってご応募ください。

© 2016 shigabiiku

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